脳科学とチェンジマネジメント

バージョン 2

    皆様こんにちは。チェンジマネジメントチームの杉山です。

    2016 年もいよいよ残すところ 1 ヶ月を切りましたね!ロンドンもいよいよ本格的な冬を迎えております。

     

    さて先日、上司からフォーブス誌のこの記事が共有されました。ふむふむ。

    「科学に基づくチェンジマネジメントの手法」・・・なかなか興味深い。しかもこれは G Suite にも適用できるではないか!!

     

    ということで今回は、この記事に触発されて変化と脳科学のお話です。

     

    はじめに・・・変化と脳の反応

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    皆様。ご自分の日々の行動について、ちょっと考えてみてください。朝起きて歯を磨いたり、服を着替えたり、通勤するためにバスや電車に乗ったり・・・もちろん、ツールを使って仕事をする、という行為も日々の習慣のうちですね。私達の日々の行動の多くは公私共に習慣で出来上がっています。

     

    この習慣化された行動は、脳の「大脳基底核」という場所が司っています。大脳基底核は習慣を記憶しているため、習慣的な行動を取るときに脳が要するエネルギーは最低限でのものであり、脳は追加で考察やその他の思考を特に必要としません。このような行動を起こすのは、私達の脳にとって非常に簡単なことなのです。

     

    では、そんな簡単で習慣化されたものから離れ、変化をつきつけられた場合、脳はどんな反応を示すでしょうか?

    今までと異なるものを提示されると、脳の「前頭前皮質(思考や判断を司る部分)」と「扁桃体(感情を司る部分)」が刺激されます。この「前頭前皮質」が今まで触れたことのない新しい情報に触れると、そこに繋がっている扁桃体の動きが活発になり、結果として不安、悲しみ、怒り、疲労感という感情が生まれます。

     

    変化に対して人が不安や悲しみなどの感情的反応を示すことは脳の仕組みと直結していて、もはや避けて通れないと言ってもいいでしょう。ですが、その仕組みをもってどうやって習慣を新しく塗り替えていくかを理解していくと、人がきちんと変化に適応していくための対処法を編み出すヒントになるのです。

     

    今回は記事に記述された点を元に、G Suite 導入の際に使えるヒントを6つご紹介します。

     

     

    ① 変化に慣れるための時間を設ける

     

     

    G Suite の世界でも、コミュニケーションプランを立てるときにはよく「ルールオブセブン」というキーワードを出しますが、これはマーケティング用語で人は 7 回同じことを発信されないとそのメッセージを完全に記憶しない、というもの。

     

    チェンジマネジメントの手法にのっとると、導入の際は全社導入の 3 ヶ月前にはコミュニケーションを行い始めるよう推奨していますが、これは社員の皆様にこの変化に慣れる期間を導入前にきっちり設けられるようにするため、という理由があります。導入までの間に、プロジェクトチームが更に密なコミュニケーションを(7回以上)行う時間をきちんと設けておけば、導入時までに社員の危機感やストレスを減らすことができます。メッセージが繰り返し発信されることで、その情報は衝動的感情を担う前頭前皮質での処理から習慣的行動を司る大脳基底核への処理に移行されていき、短い期間でもその情報を受け入れやすくなります。

     

     

    ② コミュニケーションをシンプルに

     

     

    社員へのコミュニケーションを行う際、透明性を持って情報を伝えるのももちろん重要ですが、より簡潔にわかりやすいものを発信できると浸透もしやすく、社員からの反応もよりポジティブになると言われています。

     

    思考と判断を司る前頭前皮質は、情報処理力があまり高くなく、あくまで少しずつ処理していきます。よって、G suite に移行する際のコミュニケーションは、社員のためのメリットをきちんと入れ込んだ、シンプルでわかりやすいキャッチフレーズのようなものを作成することを推奨しています(詳しくは「チェンジマネジメントにおけるコミュニケーション」をチェック!)。

     

     

    ③ 現実的な期待値設定を

     

     

    例えばビジネスツールの変更は導入が完了した途端全てが突然変わるわけではありません。社員が新しいツールを使用する上で、実際のところ始めのうちは少し生産性が下がる期間があるのは予想の範疇です。本格的にツールを使いこなせてくると、生産性は以前に増して向上することでしょう。ですがもし、その事実を無視してしまい、トップからの告知が「変化は 100% 簡単でスムーズなものになります!」というもので、実際にはそれと反するスタートを切ったらどうでしょう?脳は得ていた情報と異なる結果を目の当たりにしたとき、その事実は前頭前皮質が察知し、刺激された脳は他にも不審な点があるのではと疑心暗鬼になります。よって発信する側は、現実的な部分も正確に伝え、正しい期待値設定をしていくのが重要です。

     

     

    ④ 変化プロジェクトに社員を巻き込む

     

     

    大きな組織的変化が起こる場合、人は事をコントロール出来ない無気力感に襲われることが多くあると言います。事をコントロールできない事実、それは事の中心から外されているような疎外感の感情に繋がるのですが、最近の研究によって脳は疎外感を感じると身体的に痛みを受けた際に刺激される箇所の同じ部分が刺激されることがわかってきました。疎外感は身体的に痛みを受けるのと同じくらいの苦痛を人に与えるのです。

     

    そんな事態を出来る限り避けて社員の疎外感を最低限にしていくためには、プロジェクトに社員を巻き込んでいくのが吉。巻き込む方法は色々ありますが、例えばグーグルガイドのプログラムや、告知ポスターのデザインを手伝ってもらうこと、そして更には意見箱など社員の声を集めるチャネルを設けておくのも、ポジティブな方向に社員の気持ちを持っていく方法の一つです。

     

     

    ⑤ 興味を持たせる

     

     

    「興味を持つ」という行為は科学的に脳を刺激します。人は事柄に興味を持てば持つほど、それが新しいものでも適応しやすくなるのです。組織内の変化に興味を持たせるために凝らせる工夫はいくつかありますが、我々の経験上成功してきた方法は、変化を「ブランド化」すること。そしてそのブランドに準じたポスター、メール、ゆるキャラなどを製作して発信する方法です。その他にも、社内報、動画、社内の全体会議等、様々なチャネルを通して社員の注意をひくことができ、興味をもってもらえたら変化に対するハードルは下がり、より適応されやすくなるのです。

     

     

    ⑥ 人と感情面で繋がる

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    頭と心と脚でつながるコミュニケーションについては以前のポストでもご紹介しましたね。おさらいしましょう。

     

    頭(考え)・・・「なぜ」この変化が起こるのかという論理的、組織的な理由。

    心(気持ち)・・・個人にとってその変化がなにを意味するのか。

    脚(行動)・・・変化の中で社員が成功するために個人個人がどう動いていくべきか。(G Suite では「トレーニング」や「サポート」がそれに相当します。)

     

    通常一番むずかしいのが心と繋がるコミュニケーションですが、これが一番重要であることは間違いないでしょう。神経科学者のアントニオ・ダマジオ曰く、人は新しい事柄について判断をするとき、論理(頭)だけで結論に至ることはまずありません。脳の感情を司る部分と、衝動を司る部分はあまりに強く結びついているからです。人はまず事柄を感情で判断し、その判断に基づいた事実を見つけて自分の感情を正当化します。

     

    これはまさに我々が組織・ユーザー分析を重んじる理由に関係します。個人のニーズやツールの潜在的な使用方法、そしてツールの移行が彼らの仕事にどんなメリットをもたらすのかという点を早い段階で伝えることで判断材料をポジティブにし、導入前から社員の協力を得ることができると変化プロジェクトは成功につながります。

     

    そして感情面でもう一点。感情は、良くも悪くも伝染します。スポンサーであるトップのコミュニケーションやメッセージにも、論理的な部分だけでなく感情と繋がる内容を入れ込むことが重要というのは釈迦に説法ですが、そこにポジティブな気持ちがあることが更に重要です。リーダーであるトップや管理職の社員がネガティブな言動を示すと、それは組織に広がりモチベーションの低下やマイナス思考に繋がってしまいます。リーダー自身がきちんと事実を伝えた上で、変化についてポジティブな姿勢であることが大事です。

     

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    脳科学に基づいたチェンマネ6つのヒント、いかがでしたか?

    脳と変化の関係性がわかってくると、「人」が形成する企業という組織の中で変化を進めていく際のチェンジマネジメントの重要性をより感じます。脳と変化についてもし他にも情報があれば是非共有してくださいね。

     

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